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Winds of Happiness
2025.09.13

【人生いつからでも学び直し】第24回 『青春マネジメント』

人生の大学院 
~幸福の科学 大学シリーズ~ (#2)

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┃ 2┃Pの書斎より:人間の器をつくる
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ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ プロフェッサーの金子一之さんのコラムをお届けします。

 昔から人間の人物を見る指標として、その人の器量、すなわち器が大きな人物であるかどうかということが言われます。たとえば孔子は、その人の「行い」、由っている(由来する)「価値観」、そして、何に「幸福」を感じているか、の三点を見れば、その人がいかなる人物かは隠すことはできない、つまり洞察することができると喝破しました(『論語』巻第一 為政第二十、筆者による意訳より)。人の器を知ることが、その人の人物を見抜くことであるとすれば、孔子の人間洞察の方法はまさしく本質を突いています。

 明代の呂新吾(りょしんご)が著した『呻吟語(しんぎんご)』には、優れた器をつくる指針として「聡明才弁(そうめいさいべん)」「磊落豪雄(らいらくごうゆう)」「深沈厚重(しんちんごうじゅう)」が説かれています。幸福の科学でも、ストロング・マインドをつくるための、目指すべき器づくりの方向として紹介されています(『ストロング・マインド』)。

 聡明才弁とは「頭脳明晰で弁舌のさわやかな人間」、磊落豪雄とは「リーダーとしての大きな器をもった人間」、深沈厚重とは「智慧のある、どっしりとした人格」です。これは、人格、志を練り上げる段階論にもなっています。このなかで第一等は、天下国家を動かせるような深い智慧、不動心、平常心を兼ね備えたどっしりとした「深沈厚重」な性格ですから、これが最終的に目指すべき器だと言えます。よく譬えられるのが西郷隆盛です。人情の機微に細やかでありながら、大きな決断ができる。私心なく新しい時代を開き理想の国家をつくることに命を懸けた「無欲の大欲」型の英雄です(『人格力』『成功をつかむ発想法』ほか参照)。
宗教的には、この上に、神の道具になりきった、神の御手足(みてあし)としての聖なる自己実現があると思います。すなわち目指すべき器づくりとは、神から愛される器をつくり、神の理想を我が理想とすることでしょう。長い年月をかけて神と一体となるための器づくりに励む人、すなわち、「行い」「思い」「幸福感」が神への愛と一体となった人物の光は、「人、焉(いずく)さんぞ 廋(かく)さんや」なのです。

※明代…… 明は中国の王朝で、1368年から1644年まで存在した。
※呻吟語…… 中国の古典籍の一つ。
※「人、焉さんぞ 廋さんや」…… 人とは、いかに自分の本性や本心を隠したとしても、その言動によって本性は必ず外に現れるものだという諺(ことわざ)。

著者プロフィール

金子一之(かねこ かずゆき)
 1964年生まれ。武蔵野大学大学院修士課程修了。1990年より幸福の科学に奉職。現在、HSU人間幸福学部プロフェッサーとして、幸福の科学教学、宗教学を担当。著書に、『宗教対立を克服する方法』(幸福の科学出版)などがある。


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┃ 3┃この感動をあなたに~映画編:『雪風 YUKIKAZE』
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 今から80年前、平和な海がかつて戦場だった頃、愛する人たちを護るために戦い続けた兵士たちや、銃後を護り、待ち続けた家族たちの切なくも雄々しい物語。舞台となる駆逐艦「雪風」は、その機動性を活かし、先陣を切って魚雷を発射し、艦隊を援護し、兵士や物資を輸送するほか、沈没した艦船の乗組員の救助など、縦横無尽の働きをした。太平洋戦争の開戦以来、ミッドウェイ、ガダルカナル、ソロモン、マリアナ、レイテ沖海戦と、およそ日本人であれば耳にしたことのある苛烈な戦いのなかを生き残り、沈むことなく戦後を迎え「幸運艦」とも呼ばれた。

 「雪風」の総意は「必ず生きて帰る、生きて還す、命をつなぐ」。そして、沈没した米軍艦の兵士を載せた救命ボートに銃撃を加えた機銃員に「相手は丸腰だ。恥ずかしい真似はするな」と制した艦長・寺澤は武士道精神に貫かれた人物でもあった。「武士道」とは、命を容易く捨てることではなく、「いつ死んでも後悔しないよう、今をしっかりと生きて最善を尽くすこと」。「雪風」が「幸運艦」と呼ばれたのも、決して偶然ではない。戦時は、自らの身を危険に晒しても、國民(くにたみ)の安寧と幸福を祈ることだった。

 この映画では豪華キャストも話題の一つ。艦長・寺澤一利には、竹野内豊。穏やかな面差しのなかにも責任感の強い指揮官として、駆逐艦「雪風」を率いる。現場の兵士を束ねる先任伍長・早瀬幸平には玉木宏。この二人の信頼関係が映画の根幹に流れる。また、若き水雷員・井上壮太には、TVドラマ「御上先生」で難しい役どころを演じた奥平大兼。先任伍長・早瀬の妹役には、同じくTVドラマ「ちはやふる」で主役を務めた當間あみ。兄との手紙のやり取りが涙を誘う。この二人の若いキャストが、「日本を頼んだぞ」という「雪風」からのメッセージをより印象づけるものにしている。他にも寺澤の妻役に田中麗奈、第二艦隊司令長官役の中井貴一など多彩なキャスト陣が脇を支える。

 この作品が、日本人が失って久しい「武士道精神」に新たな息吹を与えてくれることを願いたい。また、先人たちが繋いでくれた命や日常への感謝を綴った楽曲、Uruの「手紙」に込められた思いにも心を寄せたい。

文責:木藤文人


『雪風 YUKIKAZE』公式サイトはこちらへ
(『雪風 YUKIKAZE』ポスター画像は、https://eiga.com/movie/103053/ より引用)


*** 参考文献 ***

 明治維新で武士の世が終わり、四民平等の西洋化した世界ができたわけですが、それはそれなりに、文明実験としてはよいことだったかもしれません。ただ、武士の時代は千数百年以上も続いていましたので、そこで失われたものもあったのではないかと考えています。特に、「第二次大戦の敗戦後の日本」ということを考えたとき、いろいろな神々のご批判、ご叱責等を感じるに、やはり「武士道精神が日本から失われている」ということが大きいような気がしてなりません。もちろん、現代のみなさん自身は刀を差して歩いているわけではありませんし、そういう世の中でもありません。しかし、日本の国体を護るために長らく続いていた精神でもあるので、日本的なるものを出せと言われたならば、そのなかの一つとして、「武士道」が出てくることは間違いないでしょう。(中略)
 いまだ日本人の精神の底流に生き延びていて、かつ、世界に対して何らかの発信すべきものがあるかどうか、これを知らなければならないと思います。映画やドラマ等で武士の世を観ることもありますが、現実世界では、そうした武士の世をある種のエンターテインメントとして捉えているのみであって、それらの作品から出てきている武士道が、観ている人にそのまま宿るということは少ないのではないでしょうか。

(PP.94-96)

※以上『現代の武士道』より抜粋

編集者プロフィール

木藤文人(きどうふみと)
 ジャーナリスト、宗教家。
大学を卒業後、大手広告代理店に勤務。フリーとして独立後、「週刊東洋経済」「プレジデント」「経済界」「ザ・リバティ」等の執筆を経て、2007年、幸福の科学出版に入局。『天国に還るための終活』等、編著も多数。


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