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Winds of Happiness
2026.04.01

【時事メルマガ】高市首相は“鉄の女”になれるか

 政治とは、この世の現象として現れてくる具体的な活動ですが、そのもとにあるものは、やはり、何といっても、政治哲学、理念、あるいは基本的なものの考え方や価値観です。そういうものが投影されて、現実の政治的な活動になってくるわけであり、その意味で、政治思想、政治哲学というものは非常に大事です。このバックボーンのところが、どういうものであるかによって、現実に現れてくる活動や行動が大きく変化してくるのです。

※以上『政治の理想について』より抜粋


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 高市首相の憧れの人
 「小さな政府」を目指す
 労働組合の改革
 リンカンの言葉
 父からの教え
 党内を追われる
 今、読み返したい この一冊!


報道

 日米両国の会談は、ホルムズ海峡の安全確保について重要な局面のなかで行われたが、高市首相は日本の法律の範囲内でできることとできないことがあると、トランプ大統領に詳細を説明したと語った。トランプ大統領も、日本が責任を引き受けつつあるとNATOとの対応の違いを前向きに評価した。

 また、高市首相の「世界に平和と繁栄をもたらせるのはトランプ氏だけだ」と述べ、ホルムズ海峡の安全確保に向けて諸外国に働きかけていきたいとの発言も注目された。「Bloomberg 2026.3.19」



高市首相の憧れの人

 高市氏が首相に就任して以来、その高い支持率は注目されているが、外交においても一定の手腕を発揮したとの評価は高い。そこで今回は、高市首相が理想として仰ぐマーガレット・サッチャーについて言及したい。サッチャー氏が、いわゆるイギリス病のさなかにあった大英帝国を、再び蘇らせたことはご存知だろう。サッチャー氏が在任中、強力に推し進めた「新自由主義」と呼ばれる経済政策とは何だったのか。



「小さな政府」を目指す

 サッチャー氏が目指したのは、国民の管理を最小限に抑える「小さな政府」だった。国営企業を次々と民営化。ガス、水道のインフラ事業をはじめ、電電公社、航空会社、石油会社とあらゆる業種に及んだ。民営化によって、企業は収益を伸ばすための努力の必要に迫られた。また、政府の公共支出を大幅に削減。公務員の数を減らし、国民健康保険のサービス拡大を停止した。

 一方で、労働意欲を高めるために所得税の減税が行われた。付加価値税を導入したことでガソリンやアルコール、タバコなどの価格が高騰し、一時的には国民にとって大変な痛みの伴うものだった。


労働組合の改革

 生活費は上がり、失業者数は増え、助成金を打ち切られた企業が次々と倒産。労働党や党内からの批判に対して、「保守党政権が今、歩んでいる道が正しい」と譲ることはなかった。そして、サッチャー政権の肝となったのが、労働組合への対策だ。「入社したら必ず労働組合に加入しなければならない」という条項を法律から除外。

また、石炭から石油へとエネルギー源がシフトする時期を見計らい、炭鉱の一部を閉鎖し2万人の失業者で溢れた。当然、労組は猛反発、無制限のストライキを決行したが、サッチャー氏に抜かりはなかった。事前に石炭を備蓄し、それが尽きた時には海外から輸入する算段を調えていたのだ。労組は1年あまりでギブアップした。



リンカンの言葉

 労働組合の弱体化で企業経営の合理化が進み、イギリス経済は徐々に活性化し、インフレ率は下がり、工業の生産性は高まった。一時期は「史上、最も不人気な首相」が「イギリスで最も愛されている人物」へと称されるようになる。サッチャリズムの勝利だった。彼女のこうした信念の背景には「富者を叩きのめすことによって貧者を助けることはできない」という第16代アメリカ大統領、リンカンの言葉があった。



父からの教え

 彼女が育った家庭は、裕福ではなかった。父親のアルフレッド・ロバーツは靴屋の息子だったが、目が悪かったため跡を継ぐことは叶わず、食料品店で、住み込みで働いた。しかし、本をたくさん読み、独学で勉強に勤しんだ彼は、やがて地元の名士となり、市会議員を務めるまでなった。

 サッチャー氏は自伝で「人間として必要なことは、すべて父から学んだ」と記し、「自助努力」や「個人の責任」の教えは、彼女の政治思想の根幹にある。もう一つ、マーガレット・サッチャーという人物の素地をつくった宗教についてもふれておきたい。キリスト教のメソジスト派と呼ばれ、その特徴は、規則正しい生活を重んじ、貧民救済などの社会福祉に熱心なことだ。したがって、サッチャー氏は、福祉政策にも高い関心があったことを付記しておく。


党内を追われる

 三期目の首相を務めたとき、サッチャー氏はヨーロッパ共同体(当時はEC)に不信感を抱く。大川隆法総裁は、1990年にはすでにECの失敗を予言していたが、2013年に首相退任にあたって、彼女はそのことを実感していた。つまり、イギリスのECへの分担金だけが高く、他のヨーロッパの国民を養っているようなものだと感じていたようだ。そして、その分担金を減らすためにECに対してとった厳しい態度が、自国の閣僚たちとの間に齟齬を招く。

 現在のEUに象徴されるように、弱い国同士が集まっても強くはならないというサッチャー氏の洞察を、当時の閣僚たちは理解できなかったのだ。サッチャー氏は信念の人であり、本物の「鉄の女」だった。高市首相が尊敬すべきサッチャー氏を目指すならば、「小さな政府」を選択すべきだ。彼女が“鉄の女”になれるかは、この一点にかかっていると言っていい。


文責:木藤文人(ジャーナリスト)



今、読み返したい この一冊!

1.『地球を救う正義とは何か』
―日本と世界が進むべき未来
/大川隆法(著)

/1,650 円(税込)
(2016年11月発刊)


〈本文より抜粋〉

 イギリスは、「EUからの離脱」という方針を取りましたが、実際に離脱するまでには二年ぐらいかかるとは思います。保守党のマーガレット・サッチャーさんは十一年以上もイギリスの首相を務めましたが、彼女は、「国としての独立性が損なわれる」ということで、EU参加に反対していました。

 ところが、当時は、保守党のメンバーでさえ、「サッチャーさんはもう時代遅れだ。今、EUというバスに乗り遅れたら、大変なことになる。ほかの国はバスに乗るのだから、何とか一緒に乗ろう」と、まるで日本人のようなことを考えて(笑)、党首のサッチャーさんを退け、EUに加盟することになったわけです。

 しかし、サッチャーさんの見通しは正しかっただろうと思います。彼女は、「国としての主権を失うことは、大英帝国の誇りを失うことと同じだ」「通貨の発行権を失うことがあっては大変だ」というようなことを言って、抵抗していました(注。一九九〇年にサッチャー首相の退陣後、イギリスはEUには参加したものの、通貨においてはユーロを使用せず、ポンドを使用し続けた)。それを「時代遅れ」と見るか、「先見性がある」と見るか、それは、その時代の人にとっては非常に難しい判断であっただろうと思っています。

(PP.18-20)

企画、構成
編集者プロフィル

木藤文人(きどうふみと)
 ジャーナリスト、宗教家。
大学を卒業後、大手広告代理店に勤務。フリーとして独立後、「週刊東洋経済」「プレジデント」「経済界」「ザ・リバティ」等の執筆を経て、2007年、幸福の科学出版に入局。
天国に還るための終活』等、編著も多数。


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