心に若さを、永遠に灯し続けている人になろう
「青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ」で始まるサミュエル・ウルマンの「Youth」、日本では「青春(の詩)」をご存知でしょうか。「Youth」は、彼が70歳を超えて書かれた詩です。そして、「大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、そして偉力の霊感を受け取る限り人の若さは失われない」と答えが導き出されます。心に若さを、永遠に灯し続けている人を、私たちは “夢人”と呼びます。
※松永安左エ門訳を引用
◆◇目次◇◆
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1 夢人シリーズ:稲盛和夫 編〈前編〉
2 夢人コラム:世のため、人のため
3 夢人になるためのヒント:9つ目
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┃ 1┃夢人シリーズ:稲盛和夫 編〈前編〉
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稲盛和夫の幼少期は、「泣き虫」と「病」という言葉に象徴されます。幼い頃からとても臆病で、家業の印刷と製袋に勤しむ家人から一人放っておかれると、母を求めてよく泣いたといいます。それは三時間、泣きくたびれるまで続けるという執拗さで、やがて朦朧とする意識のなかで、いつのまにか部屋の天井に描いた空想の世界へとのめり込む不思議な少年でした。そうした内弁慶の稲盛でしたが、ちょっとした弾みで起こった餓鬼大将との喧嘩に勝ち、「稲盛は強い」という評判が立ちます。ある日のこと、あからさまに贔屓されている同級生に制裁を課したことを叱られ、先生から鉄拳制裁された稲盛ですが、あくまでも自分の正義を主張します。父も和夫を問い質しますが、叱ることはありませんでした。その時代の鹿児島は、士族と平民の区別が出席簿にも明記されており、そのことが背景にあったと思われます。
さて、稲盛は中学受験で、人生初の挫折を味わいます。さらに当時は死の病といわれた結核にかかり、病床に伏してしまいます。その頃のこと、近所の知り合いの奥さんが、熱心な生長の家の信者で、稲盛に『生命の實相』全巻を読むことを勧めます。それは彼にとって、まさに枕頭の書となり、幼少時代の心の傷を癒しました。「人間の病的思想(中略)本来〝病気〟が存在するということをあらかじめ信じておいて、それを避ける方法ばかりを考えている人間の思想の波動の中に住むから病気になる」。あるいは、「本当は〝予知される未来〟というものは、念(こころ)の世界ですでに起こっている現在であって、ある事が〝念の世界〟に起こってしまった以上は、その映しである〝物質世界〟にその事件は必然的に起こってくる」……。稲盛は、世界を真反対から眺めるような思想の端緒を知ることになります。幼い頃に築かれた宗教的素養は、後の稲盛経営の根幹をなすものとなりました。後編では彼の経営、成功の秘訣に迫ります。
文責:木藤文人
参考文献:『ある少年の夢 稲盛和夫はいかに人生を切り開いたか』加藤勝美著(日経ビジネス人文庫)/『熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間』編者:稲盛ライブラリー+講談社 「稲盛和夫プロジェクト」共同チーム/『経営12カ条 経営者として貫くべきこと』稲盛和夫著(日本経済新聞出版)
*** もっとおススメ本 ***
●『人として賢く生きる』
―運命を拓く真実の信仰観
/大川隆法(著)
/1,650 円(税込)
(2020年12月発刊)
〈本文より抜粋〉
稲盛氏に言わせると、人間というのは、情熱×考え方×努力なんだということのようです。やはり、「情熱のないような人」、要するに「やる気のないタイプの人」が成功することなどありえないでしょう。(中略)また、(中略)考え方で、ポジティブかネガティブかというところがあり、ポジティブな考え方であればプラスになり、ネガティブな考え方であればマイナスになるということです。(中略)
それから、あとは「努力」です。この努力には「量」も入っていると思うのですが、どのくらい努力したかということで決まるのだというようなことです。(中略)そこで、稲盛氏が強く言っているのは、その「考え方」のところです。この人は『生命の實相』などを勉強した人の一人なので、そういう積極思考や光明思想などを持っていた人ではあるのですが、ここがマイナスだったら駄目になるということです。要するに、「成功」というのは掛け算なのだということで、(中略)この三つのなかにマイナスのものが入っていたら、それぞれの数値がいくら大きくても駄目になるということです。
(PP.138-140)